腎臓の再吸収 ─ 下行脚と上行脚、どっちが水?
わん助
腎臓の再吸収はバッチリ覚えたよ!ヘンレループは
下行脚でNaCl、上行脚で水が再吸収される!「下に塩が落ちる」って覚えたんだ〜!
にゃるき
おしい〜!じつは
逆なんだにゃ。ここは受験生のみんなが一番取り違えるところ。まずは問題で確かめてみるにゃ。
まずは問題
腎臓におけるネフロンの機能として、正しいものを1つ選びなさい。
- 1. 糸球体では血液のろ過は行われず、ホルモン分泌のみが行われている。
- 2. 近位尿細管では糸球体ろ液中のグルコースとアミノ酸の大部分が再吸収される。
- 3. ヘンレループでは下行脚でNaCl、上行脚で水が再吸収される。
- 4. 遠位尿細管はホルモン調節を受けず一定量の水分を再吸収する。
- 5. 集合管はアルドステロンの作用を受けて水の透過性が変化する。
正解と理由
正解は 2. 近位尿細管ではグルコースとアミノ酸の大部分が再吸収される。近位尿細管では、ブドウ糖・アミノ酸などの体内に必要なものはほぼ100%、水やNa+などの電解質も約70%が再吸収されます。
そして選択肢3は、わん助が言ったのと同じ「逆に覚える」ワナ。正しくは下行脚で水、上行脚でNaClです。
わん助
うう…。「下行」と「上行」、「水」と「塩」…似たものが2つずつ並んでるだけだから、どっちがどっちか分からなくなるんだよ〜。
にゃるき
その気持ちはよく分かるにゃ。丸暗記だと五分五分のクジ引きになっちゃう。だから今日は
「理由ごと」覚えるにゃ。まずはネフロンの全体像からいくにゃ。ちなみにヘンレループは
ネフロンループともよばれるにゃ。
ネフロンの全体像
ネフロン=糸球体(+ボーマン嚢)から尿細管まで。原尿はこの順に流れていく。
糸球体でろ過された原尿(ろ過尿)は、近位尿細管 → ヘンレループ(下行脚 → 上行脚)→ 遠位尿細管 → 集合管の順に流れ、その間に必要なものが再吸収されて血液へ戻ります。原尿の大部分は再吸収され、最終的な尿は犬で1日あたり20〜40 mL/kg、猫で15〜30 mL/kgほどになります。
どこで何が再吸収される?
| 部位 |
はたらき |
覚えどころ |
| 糸球体 |
血液をろ過して原尿をつくる |
再吸収はしない。ろ過専門 |
| 近位尿細管 |
グルコース・アミノ酸をほぼ100%、水・Naを約70%再吸収 |
大部分をまとめて回収する「大食い」担当 |
| ヘンレループ下行脚 |
水を再吸収 |
壁が「水だけ」を通す |
| ヘンレループ上行脚 |
NaClを再吸収 |
壁が水を通さず、Naをくみ出すポンプを持つ |
| 遠位尿細管 |
Naなどの電解質を微調整 |
最後はホルモンが微調整する区間 |
| 集合管 |
アルドステロンがNa再吸収(+K=カリウム排泄)を促し、バソプレシン(ADH)が水の透過性を上げて水を再吸収 |
再吸収マップ:下行脚からは水(青)、上行脚からはNaCl(黄)が出ていく。最後は2つのホルモンが「蛇口」を微調整する。
なぜ「下行脚=水、上行脚=NaCl」なの?
にゃるき
ポイントは
壁の性質がまったく違うことにゃ。
下行脚の壁は水だけを通す。
上行脚の壁は水を通さないかわりに、Naを外へくみ出すポンプを持っているにゃ。
にゃるき
そしてこの2つはチームで働くにゃ。
上行脚がくみ出した塩のおかげで、ループのまわり(髄質)は塩からく濃い状態になる。すると
その濃さに引かれて、下行脚から水が抜けていくにゃ。「上の塩が、下の水を引き抜く」——この因果でつなげば、もう逆には覚えないにゃ。
わん助
そっか!バラバラの暗記じゃなくて
「塩をくみ出すから、水が引き抜かれる」っていう1つのお話だったんだ!これなら「下行脚=水」って自然に出てくるよ!
覚え方のコツ
- 近位尿細管は「大食い」:糖・アミノ酸ほぼ100%、水・Na約70%をまとめて回収。栄養素が尿に出ないのはここのおかげ。
- ヘンレループは「上の塩が下の水を引き抜く」:上行脚(水を通さない壁+Naポンプ)がNaClをくみ出す → まわりが濃くなる → 下行脚から水が抜ける。
- 最後はホルモンで微調整:バソプレシン(ADH)=水の蛇口(集合管の水の透過性)、アルドステロン=Naの蛇口(Na再吸収・K排泄)。「ADHは水・アルドステロンは塩」とセットで。
- ホルモンの取り違えもワナ:「アルドステロンが集合管の水の透過性を変える」ときたら誤り(それはADHの仕事)。
もう1問チャレンジ
にゃるき
再吸収の場所が分かると、じつは
薬理の問題まで解けるようになるにゃ。利尿薬は「どこの再吸収を止めるか」で分類されているからにゃ。
次の薬の中でループ利尿薬として適切なものはどれか。
- 1. ヒドロクロロチアジド
- 2. マンニトール
- 3. バソプレシン
- 4. フロセミド
- 5. スピロノラクトン
1ヒドロクロロチアジド:チアジド系利尿薬。遠位尿細管に作用。
2マンニトール:浸透圧性利尿薬。尿細管全体で水を引き留める。
3バソプレシン:抗利尿ホルモン。利尿薬ではなく、むしろ水の再吸収を増やして尿を減らす。
4フロセミド:これが正解。ループ利尿薬で、名前のとおりヘンレループ(上行脚のNaCl再吸収)に作用する。臨床では同じループ利尿薬のトラセミドも使われる。
5スピロノラクトン:カリウム保持性利尿薬。集合管でアルドステロンに拮抗する。
にゃるき
ばっちりにゃ!
「場所」を1回ちゃんと理解すると、解剖生理と薬理の2分野で得点できる。再吸収マップは覚える価値が高いにゃ。
わん助
間違えて覚えてたのが、かえってよく分かるきっかけになったよ!アプリでネフロンの問題を解き直してくる〜!
※ ここに参考書のリンク枠を挿入予定
関連問題
尿崩症とデスモプレシン、RAA系(レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系)の問題もアプリに収録しているにゃ。