にゃるき
にゃるき先生の解説コーナー
愛玩動物看護師国家試験合格に向けて一緒に頑張るにゃー!!

腎臓の深掘り ─ おしっこを作るだけじゃない働き者

⏱ 約14分 腎臓のはなし2026-08-13 公開
🔎 深掘り回 第1弾:ずかん回が「たくさんの臓器を横に並べて見比べる」回なら、深掘り回は「1つの臓器をとことん掘る」回。第1弾は腎臓です。
わん助
腎臓なら知ってるよ!おしっこを作る臓器でしょ。ろ過して、再吸収して、はい完成!それが腎臓の仕事の全部だよね!
にゃるき
おしい〜!半分だけ正解にゃ。おしっこ作りはたしかに本業。でも腎臓にはそれ以外の大事な仕事があるんだにゃ。まずは問題で確かめてみるにゃ。

まずは問題

腎臓が果たしている、尿をつくる以外の働きに関する記述として、最も適切なものはどれか。

わん助
ぼくは5番にしたよ。腎臓とビタミンDって何か関係あった気がして…。えっ、違うの!?
にゃるき
「関係がある」ところまでは合ってるにゃ!でも向きが。腎臓はビタミンDを分解するんじゃなくて、働ける形(活性型)に変えるんだにゃ。正解は1番のエリスロポエチン。この記事を読み終わるころには、この問題が「当たり前」に見えるようになるにゃ。腎臓を根っこから深掘りしていくにゃ〜。
1エリスロポエチンこれが正解。腎臓から分泌され、赤血球の産生を促す。くわしくは記事の後半で。
2インスリン:膵臓(ランゲルハンス島)の仕事。
3胆汁:肝臓の仕事。
4甲状腺ホルモン:甲状腺の仕事。
5ビタミンD:腎臓の仕事は「分解」ではなく活性化(働ける形に変える)。

腎臓のプロフィール ─ どこにある?どんな形?

腎臓は犬ではそら豆のような形(猫ではやや丸みのある卵円形)をした臓器で、左右に1対あります。場所は腹腔の背中側、腰のあたり。犬や猫では右の腎臓のほうが左よりやや頭側(前寄り)に位置します。そら豆のへこんだ部分は腎門とよばれ、腎動脈・腎静脈・尿管・神経がここから出入りします。

皮質 糸球体がある層 髄質 ヘンレループ・集合管が走る 腎盤(腎盂) 尿を集めて尿管へ 腎門 血管・尿管・神経の出入り口 尿管 膀胱へ
腎臓の縦断面(模式図)。外側の皮質に糸球体が並び、内側の髄質を通った尿が腎盤(腎盂)に集まり、腎門から尿管を通って膀胱へ向かう。
部位 なにがある?
皮質(外側の層) 腎小体(糸球体+ボーマン嚢)と近位・遠位尿細管。ろ過と再吸収の主戦場
髄質(内側の層) ヘンレループ(ネフロンループ)と集合管がまっすぐ走る。尿を濃縮する区間
腎盤(腎盂) できあがった尿を集めて尿管へ送るろうと状の部分。ここでは濃縮しない
腎門 へこみの部分。腎動脈・腎静脈・尿管・神経の出入り口

顕微鏡でのぞくと ─ 「毛玉」を探せ

腎臓皮質の組織像。中央に毛玉状の糸球体とそれを包むボーマン嚢、周囲に尿細管の断面が見える
腎皮質の組織像(HE染色)。毛玉のような丸が糸球体、まわりのすき間がボーマン嚢。周囲の管の断面はすべて尿細管。(写真: Ed Uthman / CC BY-SA 2.0

組織のずかんでも登場した、腎臓の目印「毛玉」=糸球体。毛玉の正体は毛細血管が丸まった塊で、これをボーマン嚢という袋が包んでいます。糸球体とボーマン嚢を合わせて腎小体とよび、糸球体は皮質にだけあります。

では、この毛玉は何をしているのか。写真問題で確かめましょう。

写真の中央上部の球状構造が担う主な働きはどれか。

腎皮質のHE染色組織像。中央上部に球状の糸球体がみえる
腎皮質の組織像(HE染色)。写真:当サイト撮影

正解は 2. 血液のろ過による原尿の生成。糸球体は毛細血管の壁をふるいにして血液をろ過し、原尿(ろ過尿)をつくります。これが尿づくりの第一歩です。

尿ができるまで ─ 3ステップ

ステップ 場所 なにをする?
① ろ過 糸球体 血液をふるいにかけて原尿をつくる。血球や蛋白質のような大きなものは通さない
② 再吸収 尿細管〜集合管 原尿の中のまだ使えるもの(水・グルコース・アミノ酸・電解質)を血液へ回収する。原尿の大部分はここで戻る
③ 分泌・濃縮 尿細管〜集合管 逆に捨てたいものを尿側へ送り出し、最後は水を引いて濃縮。できた尿が腎盤(腎盂)へ
にゃるき
②の再吸収は国試の超頻出ポイントにゃ。「どこで・なにが・どのくらい」戻るのかは、腎臓の再吸収の記事で1本まるごと深掘りしてあるにゃ。ヘンレループの下行脚と上行脚を取り違えやすい人は、先にそっちを読んでほしいにゃ。

本題:尿をつくる「以外」の3つの仕事

わん助
それで、冒頭の問題だよ…。おしっこ以外の仕事って、いったい何をしてるの?
にゃるき
腎臓はじつはホルモンを出す内分泌器官でもあるんだにゃ。仕事は大きく3つ。血を増やす・血圧を守る・骨を支えるにゃ。
はたらき なにをする? 減るとどうなる?
エリスロポエチン 骨髄に働きかけて赤血球の産生を促すホルモン 赤血球が作れず貧血に(腎性貧血)
レニン 血圧の調節に関わる。レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAA系)の引き金役 分泌の調節が乱れ血圧をうまく保てなくなる(慢性腎臓病では高血圧の一因に)
ビタミンDの活性化 ビタミンDを働ける形(活性型)に変え、腸からのカルシウム吸収を助ける カルシウムをうまく吸収できず骨がもろくなる
にゃるき
そしてここが今日いちばんの深掘りポイント。慢性腎臓病(CKD)の子が貧血になる理由、もう分かるにゃ?
わん助
あっ、そうか!腎臓が弱るとエリスロポエチンが減るから、赤血球が作れなくなって貧血になるんだ!おしっこの病気なのに貧血になるの、ずっと不思議だったんだよ〜。つながった!

そのとおり。これが腎性貧血です。治療にはエリスロポエチンを製剤化した薬(エポエチンαなど)が使われます。「腎臓=おしっこ」だけで覚えていると、この「腎臓病なのに貧血」「腎臓病なのに骨や血圧の話が出てくる」というつながりが見えません。腎臓は血液・血圧・骨まで支える働き者──これが今日の結論です。

検査でどう見る? ─ BUNとクレアチニン

働き者の腎臓がどれくらい元気かは、血液検査で見当をつけられます。代表選手を問題でどうぞ。

腎機能の評価に用いられる血液検査項目として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1BUNとクレアチニンこれが正解。どちらも本来は尿へ捨てられる老廃物で、腎臓の排泄機能が落ちると血液中にたまって上昇する。
2ALT・AST:肝細胞の傷害を示す項目。
3総ビリルビン:肝臓・胆道系の評価に用いる。
4血糖値:糖代謝の指標。
5アミラーゼ:おもに膵臓の評価に用いる。
にゃるき
覚え方はシンプル。「ゴミの回収が止まると、ゴミが街にたまる」にゃ。BUN(尿素)もクレアチニンも体のゴミ。腎臓という回収車が止まれば血液にたまる。だから高いほど腎機能が心配という向きになるにゃ。ただしBUNは脱水や消化管出血、食事でも動くから、クレアチニンとセットで読むのが基本にゃ。

看護へのつながり ─ CKDの子をどう見守る?

腎臓の知識は、そのまま慢性腎臓病(CKD)の看護につながります。国試でも「在宅でのモニタリング」「食事療法」がよく問われます。

覚え方のコツ

にゃるき
ここまで読めたらもう、冒頭の問題は「当たり前」に見えるはずにゃ。1つの臓器を根っこから理解すると、解剖生理・検査・薬理・看護の4分野がまとめて解けるようになる。それが深掘り回のねらいにゃ!
わん助
腎臓ってこんなに働き者だったんだね!「血・圧・骨」、しっかり覚えたよ。アプリで腎臓の問題をまとめて解き直してくる〜!
※ ここに参考書のリンク枠を挿入予定
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関連ページ

CKDの食事療法や在宅モニタリング、エリスロポエチン製剤の問題もアプリに収録しているにゃ。