犬種ずかん① 日本犬 ─ 白い犬が3頭いても、見分けはつく
にゃるき
今日から
犬種のずかん回にゃ。犬の写真を見せて「この犬種はどれか」と聞く問題は、
実地問題の常連。しかも聞き方は名前だけじゃなく、
原産地・好発する病気・グルーミングの道具まで広がるにゃ。
わん助
犬のことならまかせて!日本の犬は
柴と秋田でしょ。あとは…えーと、あとは全部その仲間ってことで!
にゃるき
惜しいにゃ〜。実は
天然記念物に指定されている日本犬は6犬種あるにゃ。柴・秋田のほかに
甲斐・紀州・四国・北海道。試験では「この中で天然記念物はどれか」と聞かれることもあるにゃ。
わん助
6つも…!しかも写真で見分けるの? 白い犬が何頭も出てきたら、ぼくお手上げだよ…。
見分けは3ステップ
にゃるき
全部を覚えようとしないで、
この順で削っていくにゃ。日本犬はどれも
立ち耳が共通で、尾も巻き尾が基本にゃ。そこは手がかりにならないにゃ(紀州のように差し尾の個体もいるにゃ)。
この3ステップで、タイトルの「白い犬が3頭」も片づきます。日本犬で白いのは紀州・北海道・日本スピッツの3頭。まず日本スピッツが毛の長さで落ち、残る2頭は他の選択肢を消して絞ります。
| ① 大きさ | まず大型か中型か小型か。大型は秋田だけ。小型は柴だけ。残り4犬種(甲斐・紀州・四国・北海道)は中型でひとかたまり |
| ② 毛色 | 虎毛(とらげ)なら甲斐で即決まり。白なら紀州か北海道、胡麻(ごま)なら四国が有力 |
| ③ 産地の名前 | 甲斐=山梨、紀州=和歌山、四国=高知、北海道=北海道。犬種名がそのまま原産地なので、原産地を聞かれる問題はここで解ける |
日本犬ずかん(8種+まぎらわしい3種)
※ 同じ犬種でも毛色には幅があります。写真は代表的な一例です。
写真と解説を見ながら特徴をつかもう。
天然記念物
秋田(あきた)
原産地:秋田県
大型
日本犬で唯一の大型犬。体高はおよそ58〜70cm(雄が大きい)。太い首と厚い胸で、写真でも明らかに他より大きい。
国試メモ:もともとクマなどの大型獣の猟に使われた。血液検査では赤血球中のカリウムが多い個体がいる(③の回で解説)。
天然記念物
柴(しば)
原産地:本州の山間部
小型
日本犬で唯一の小型犬。体高35〜41cmほど。日本でいちばん飼われている日本犬で、写真問題にもよく出る。
国試メモ:猟犬としての用途は鳥や小型獣。「大型獣の猟に使われた」は秋田の説明で、柴に当てると誤りになる。
天然記念物
甲斐(かい)
原産地:山梨県
中型
虎毛(とらげ)=黒や褐色の地に縞が入る毛色。日本犬で虎毛はこの犬種だけなので、縞が見えたら甲斐で確定。
国試メモ:「甲斐=山梨」。虎毛は黒虎・中虎・赤虎に分かれるが、試験では「虎毛=甲斐」まで分かれば足りる。
天然記念物
紀州(きしゅう)
原産地:和歌山県・三重県
中型
現在は白がほとんど。イノシシやシカの猟に使われた。がっしりした中型で、尾は巻くか、背に沿ってまっすぐ立てる(差し尾)。
国試メモ:白い中型の日本犬は紀州と北海道の2択。写真だけで割り切るのは難しく、問題でも他の選択肢との消去法で解くことが多い。
天然記念物
四国(しこく)
原産地:高知県
中型
胡麻(ごま)=黒・赤・白の毛が混じった毛色が代表的。オオカミのような精悍な顔つきでよく知られる。
国試メモ:かつて土佐犬とも呼ばれたが、闘犬の土佐闘犬とはまったく別の犬種。名前が似ているので注意。
天然記念物
北海道(ほっかいどう)
原産地:北海道
中型
白・赤・黒・胡麻など毛色の幅が広い。舌に青黒い斑(舌斑・ぜっぱん)が出る個体が多いと言われる(試験には出ていないが、現場ではよく話題になる特徴)。
国試メモ:アイヌ犬とも呼ばれる。クマ猟に使われた歴史をもつ。
日本原産
狆(ちん)
原産地:日本(起源は中国大陸)
小型・愛玩犬
日本原産だが立ち耳でも巻き尾でもない。短い鼻と長い飾り毛の愛玩犬で、日本犬のグループには入らない。
国試メモ:天然記念物ではない。短頭種なので、呼吸や暑さに弱い点は③の回で扱う。
日本原産
日本スピッツ
原産地:日本
小型
真っ白な長毛にとがった口・立ち耳・背に乗る巻き尾。日本原産だが昭和期に作られた犬種で、天然記念物ではない。
国試メモ:白くて小さいのでポメラニアンと迷いやすい。ポメラニアンはさらに小さく、口がもっと短い。
外国原産
アラスカン・マラミュート
原産地:アメリカ(アラスカ)
大型
そりを引く犬。顔の白い模様と厚い被毛が特徴で、秋田と体格が近いため秋田の選択肢にまぎれこむ常連。
国試メモ:日本犬に見えても原産地はアメリカ。原産地を聞く問題ではここが分かれ目。
外国原産
サモエド
原産地:ロシア(シベリア)
中型〜大型
全身が白いふわふわの被毛。口角が上がって笑って見えるのが有名。白い日本犬と並ぶとまぎらわしい。
国試メモ:紀州・北海道と比べると被毛がずっと長くふくらんでいる。日本犬の被毛は短く硬い。
外国原産
バセンジー
原産地:コンゴ(中央アフリカ)
中型
立ち耳・巻き尾・短毛で、ぱっと見は日本犬そっくり。ひたいのしわと、すらりと長い脚が見分けどころ。
国試メモ:犬は繁殖期に関係なく発情するが、この犬種には1年に1回・決まった時期に発情する系統がいる。吠えない犬としても知られる(のど=喉頭のつくりが違い、独特の声を出す)。
わん助
そうか、
大きい=秋田/小さい=柴/縞=甲斐で3つ決まっちゃうんだ! 残りを迷えばいいだけなら、けっこういけそう!
まとめ表
| 秋田 | 大型・秋田県。日本犬で唯一の大型 |
| 柴 | 小型・本州。日本犬で唯一の小型 |
| 甲斐 | 中型・山梨県。虎毛 |
| 紀州 | 中型・和歌山県。白が主流 |
| 四国 | 中型・高知県。胡麻が代表的。旧称の土佐犬は土佐闘犬とは別 |
| 北海道 | 中型・北海道。舌斑が出ることがある |
| 狆・日本スピッツ | 日本原産だが天然記念物ではない |
1問チャレンジ
写真の動物の原産と分類に関する記述として誤っているものはどれか。
- 1. 日本原産の犬種である。
- 2. 天然記念物に指定されている。
- 3. FCIでは原始的な犬・スピッツのグループに分類される。
- 4. 立ち耳と巻き尾が特徴である。
- 5. 古くから大型獣の狩猟に用いられた狩猟犬である。
1日本原産:正しい。柴は本州の山間部で古くから飼われてきた日本犬。
2天然記念物:正しい。柴は天然記念物に指定された6犬種のひとつ。
4立ち耳と巻き尾:正しい。日本犬に共通する特徴なので、これだけでは犬種を特定できない。
5大型獣の狩猟:これが誤り。クマなどの大型獣に使われたのは秋田や北海道。柴は鳥や小型獣の猟犬だった。同じ日本犬でも用途は体格に対応していると押さえると、入れ替えの引っかけに強くなる。
看護でどう活きるか
- 問診の第一声で犬種を言えると話が早い。「柴ちゃんですね」と言えるだけで飼い主さんの表情が変わる。犬種はカルテの基本情報であり、そのあとの病気の予測にもつながる。
- 日本犬は換毛期の抜け毛が多い。二重の被毛をもつため、春秋の来院時には「毛が大変な時期ですね」の一言が自然に出る。グルーミングの道具選びも犬種で変わる(②の回)。
- 「白い中型の日本犬」はスタッフどうしでも見分けが割れる。迷ったら飼い主さんに確認するのがいちばん確実で、それは知識不足ではなく普通のこと。
覚え方のコツ
- 天然記念物6犬種は「あ・し・か・き・し・ほ」:秋田・柴・甲斐・紀州・四国・北海道。狆と日本スピッツは入らない。
- 体格で2つ決まる:大型は秋田だけ、小型は柴だけ。残り4つが中型。
- 毛色の決め手は虎毛:縞が見えたら甲斐。
- 犬種名=原産地:甲斐・紀州・四国・北海道は地名そのもの。原産地を問う問題はこれで解ける。
- まぎらわしい外国犬はマラミュート(アメリカ)・サモエド(ロシア)・バセンジー(コンゴ)。「日本犬っぽいけど外国原産」の枠として3つまとめて覚える。
にゃるき
写真問題は
消去法が効くにゃ。5つの選択肢のうち2つが「大型か小型か」で消えるなら、残り3つの勝負になるにゃ。全部を一発で当てにいかないのがコツにゃ。
わん助
よーし、アプリで犬種の問題を解いてくる!今度は自信あるぞ!
※ ここに参考書のリンク枠を挿入予定
関連ページ
本ページの写真は Wikimedia Commons で公開されている画像を使用しています(縮小のみの改変)。
各写真の作者・ライセンスは
ライセンス情報のページに一覧があります。