定義はこうです。炎症とは有害な刺激に対する生体の総合的な防御反応のことで、臨床的には局所の発赤・発熱・腫脹・疼痛・機能障害という炎症の5大徴候が認められます。
赤くなるのも腫れるのも、戦うために血と細胞を送りこんでいる結果です。肥満細胞から出るヒスタミンなどが血管の透過性を高め、そこから好中球が現場へ入っていきます。腫れは、その通り道が開いている証拠です。
ここは国試で2回出ています。そして2回とも出し方が同じでした。
| 第3回 一般 | 「炎症の一般的な徴候でないのはどれか」 発赤/熱感/腫脹/疼痛/貧血 → 正解は貧血 |
|---|---|
| 予備1回 必須 | 「炎症の5大主徴に含まれないのはどれか」 発赤/熱感/疼痛/腫脹/漏出 → 正解は漏出 |
お気づきでしょうか。どちらも「機能障害」を選択肢に出していません。4つを並べて、5つ目に関係のない言葉を混ぜる ── これが出し方です。ですから発赤・発熱・腫脹・疼痛の4つを反射で言えることが、そのまま得点になります。
⚠️ 表記に注意。一般には「発熱」と書かれますが、試験は2回とも「熱感」でした。同じものです。言葉が入れかわっても動じないようにしておきましょう。
炎症は滲出物・浸潤細胞・病変の特徴によって7つに分けられます ── 漿液性(カタル性)・線維素性・出血性・化膿性・壊死性(壊疽性)・増殖性・肉芽腫性。
このうち増殖性炎症だけが、性質の違うものです。説明を読むと分かります ── 増殖性炎症は実質組織の過形成を主体とするものと、間質組織における肉芽組織の形成を主体とするものの2つ。滲み出た物ではなく、増えた物で分類されています。
ここも出題されました。「滲出性炎でないのはどれか」という問題で、線維素性炎・カタル性炎・化膿性炎・漿液性炎が並び、正解は増殖性炎。第5回の過形成と肉芽組織を覚えていれば、増殖性炎だけが「増える側」の言葉だと気づけます。
分類の中でいちばん問われるのが化膿性炎症です。「一般的には好中球浸潤を特徴とする炎症を意味する」とされ、さらに通常はさまざまな細菌感染に関連して認められると続きます。
試験もそのまま聞きました ──「化膿性炎症に特徴的な炎症細胞はどれか」の正解は好中球。血球ずかん③で見たあの好中球が、ここで主役になります。膿を見たら、細菌と好中球です。
※ 好酸球の浸潤が主体の場合は好酸球性炎症(アレルギー性炎症)として区別されます。同じ顆粒球でも、示している相手が違います。
そして炎症細胞が来る順番も決まっています ── 最初に好中球、これに続いて単球とマクロファージ、その後にリンパ球と形質細胞が浸潤します。主役が入れかわりながら進むのが炎症です。
※ ここも問われました。「血管内から組織に遊走してマクロファージとして働く白血球はどれか」の正解は単球。細胞そのものの見分けは血球ずかん③ 好中球・④ リンパ球と単球にあります。
最後に、このシリーズを1本に束ねる一文を紹介します。炎症の経過は、こう説明されています。
炎症の急性期には細胞死や壊死・変性・萎縮などの退行性変化と、充血・うっ血・水腫・白血球浸潤といった循環障害が起こり、慢性期には肉芽組織の形成や器質化などの進行性変化がみられる ── だから炎症は形態的に非常に複雑な病変を形成する。
読み返してみてください。このシリーズで扱ってきたものが、全部そろっています。炎症は独立した8番目のテーマではなく、これまでの7回が一度に起きている場所だったのです。
だから傷は、この順で治ります ── 炎症 → 肉芽組織形成 → 瘢痕形成。これも出題されています(第4回 一般)。
炎症に関する記述として、誤っているのはどれか。
| 赤い=わるい、ではない | 術創が赤く腫れているとき、それが治る途中の炎症なのか悪化なのかは、1回見ただけでは決まらない。きのうと比べてどうかを書き残すことが、判断する人にとっていちばんの材料になる |
|---|---|
| 膿を見たときの言葉 | 膿は好中球が集まった結果で、細菌感染と結びつくことが多い。「黄色い膿が出ています」「においが変わりました」は、そのまま報告してよい所見 |
| 抗炎症薬をわたすとき | 炎症は防御反応なので、抑えることには両面がある。飼い主さんに「炎症を止める薬」と伝えるとき、症状をやわらげるためのものだと分かって渡せると、説明がぶれない |