白血球の構造と機能に関する記述として正しいのはどれか。
正解は2番。5つの肢は係と仕事が1か所ずつ入れ替えてあります。中身はこうです。
| 好中球 | 細菌を貪食する。生まれつき備わった自然免疫の担当で抗体は作らない → 1番が誤り |
|---|---|
| Bリンパ球 | 刺激を受けて形質細胞に分化し抗体を産生。貪食はしない → 3番が誤り |
| Tリンパ球 | B細胞に働きかけて抗体産生を促す。細胞性免疫も担う → 2番が正解 |
| 単球 | 組織でマクロファージになる。好酸性顆粒をもつのは好酸球 → 4番が誤り |
| 形質細胞 | 抗体を作る細胞。核が分葉するのは好中球 → 5番が誤り |
つまり白血球は5種類がそれぞれ別の仕事をしています。ここからは、そのなかでいちばん数が多い好中球です。
犬や猫の好中球は直径10〜15μm。赤血球(犬で約7μm・猫で約6μm)よりひとまわり大きいのが第一印象です。細胞質にもつ顆粒が中性の色素に染まりやすいので「好中球」。ただし正常な犬や猫では顆粒は目立ちません。写真でも、核のまわりはほとんど色がなくのっぺりして見えます。
ここが好酸球・好塩基球との大きな違いです。あちらは赤い粒・紫の粒がはっきり見えるので、色のついた粒が見えたら好中球ではないと覚えておくと迷いません。
仕事はこうです。血管の壁にくっついて血管の外へ出て、炎症の場まで自分で移動し、着いたら細菌や異物を貪食し、リソソーム(細胞のなかの分解工場)で溶かす ── 現場にまっさきに駆けつける実働部隊です。
だから膿のなかにいちばん多いのが好中球で、好中球が集まる炎症を化膿性炎症とよびます。
好中球の核は、成熟とともにくびれて(分葉して)いきます。分葉したものを分葉核好中球、分葉する前の細長い核をもつものを桿状核好中球(かんじょうかくこうちゅうきゅう)とよび、この2つは区別して数えます。
この「年齢」を骨髄の段階までさかのぼって左から並べたのが、シリングの白血球分化模式図です。
左の4つは骨髄の中での名前です。名前を全部覚えるより、右にいくほど大人という並びをつかむのが先です。左へ行くほど若く、右へ行くほど成熟。ふだん血液中に出ているのは、ほとんどが右端の分葉核球です(桿状核球はごくわずか)。ところが感染などで好中球がどんどん消費されると、骨髄は成熟を待たずに送り出します。するとこの図の左側にいる若い細胞が血液中に現れる ── これを左方移動とよびます。
ここが今回のいちばん大事なところです。左方移動には2種類あり、好中球の総数がどうなっているかで名前も意味も変わります。
| 再生性 左方移動 |
好中球の総数が増えていて、そのなかに若い細胞が混じる。急性炎症に対して骨髄の産生が追いついている状態。軽度なら桿状核が出現し、中等度では後骨髄球まで、高度ではもっと若いものまで出てきます |
|---|---|
| 変性性 左方移動 |
好中球の総数が減っている、または正常範囲なのに若い細胞が出ている。重度の急性炎症に産生が追いついていない状態で、非常に危ないと判断されます |
白血球の数字だけを見ていると、変性性左方移動は「白血球は正常です」で通り過ぎてしまいます。数が正常なのに危ないという逆転が起きるのは、塗抹を見て初めてわかることです。
成熟した好中球。核に細い部分(くびれ)があり、かたまりがつながって見えます。少しでも細い部分があればこちらです。
国試メモ:ふだん血液中にいるのはこちら。くびれている=大人。
写真:Medicallessons / CC BY-SA 3.0(ヒトの血液像・切り出しと色調補正あり)
分葉する前の好中球。核はソーセージ状(馬蹄形やU字に曲がります)で、途中がくびれていません。
国試メモ:これが増えていたら左方移動。⚠️単球も核が曲がったり分葉したりするので紛らわしい細胞です。迷ったら核の中身(クロマチン)を見ます ── 単球の核は好中球より淡く見えます(④で扱います)。
写真:Ajay Kumar Chaurasiya / CC BY-SA 4.0(ヒトの血液像・切り出しと色調補正あり)
| 「数は正常です」で終わらせない | 白血球数が正常でも、塗抹で若い好中球が目立てば変性性左方移動かもしれません。塗抹も見ておきましょうかの一言が、危険な状態の見落としを防ぎます |
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