にゃるき
にゃるき先生の解説コーナー
愛玩動物看護師国家試験合格に向けて一緒に頑張るにゃー!!

寄生虫の虫卵ずかん(犬・猫編)─ 顕微鏡写真をまとめて見比べよう

⏱ 約10分 ずかん回2026-08-09 公開
にゃるき
今日はいつもと趣向を変えて「ずかん回」にゃ。虫卵は1個ずつ覚えるより、並べて見比べるのがいちばん速い。違いは「比べたとき」に初めて見えてくるからにゃ。
わん助
正直に言うと…顕微鏡の写真って、どれも茶色くて丸くて、ぜんぶ同じに見えるんだよね…。
にゃるき
最初はみんなそうにゃ。でも見るところは4つだけ①大きさ ②形 ③殻の厚さ ④中身。この順にチェックすれば、下のずかんの9種はちゃんと見分けられるようになるにゃ。

ずかんの見方 ─ チェックは4つ

① 大きさまずµm(マイクロメートル)のケタ感。ジアルジア(約10µm)とミクロフィラリア(約300µm)では30倍違う
② 形球形?楕円?レモン形?「袋」に入っている?
③ 殻厚くてデコボコ(回虫)か、薄くてツルッ(鉤虫)か
④ 中身つぶつぶの細胞のかたまりか、幼虫・六鉤幼虫(ろっこうようちゅう=6本のカギをもつ条虫の子)が入っているか

犬・猫の寄生虫ずかん(9種)

※ 写真の倍率はカードごとに違うので、写真同士で大きさ比べはできません。大きさは数値(µm)で覚えましょう。

写真と解説を見ながら特徴をつかもう。
線虫 犬回虫の虫卵。球形に近く厚い殻の表面に細かい凹凸がある顕微鏡写真

犬回虫の卵

Toxocara canis
約75〜90µm

ほぼ球形で殻が厚く、表面にゴルフボールのような細かいデコボコ。中身は暗い1つのかたまり。

国試メモ:人獣共通(トキソカラ症=幼虫移行症)。子犬は胎盤感染もする。

写真: Joel Mills / CC BY-SA 3.0

線虫 猫回虫の虫卵。犬回虫に似た厚い殻の楕円形の顕微鏡写真

猫回虫の卵

Toxocara cati
約65〜75µm

見た目は犬回虫そっくりで、ひと回り小さい。写真だけでの区別はプロでも慎重になるレベル。

国試メモ:子猫への感染は乳汁感染が主体(犬回虫と違い胎盤感染はしない)。

写真: Joel Mills / CC BY-SA 3.0

線虫 犬鉤虫の虫卵。薄い殻の楕円形で内部に分裂した細胞のかたまりが見える顕微鏡写真

犬鉤虫の卵

Ancylostoma caninum
約60×40µm

楕円形で殻がうすくツルッとしている。中に分裂した細胞のつぶつぶ(桑実胚)が見えるのが決め手。

国試メモ:経口・経皮・乳汁と感染経路が多彩。小腸で吸血するので子犬の貧血の原因に。

写真: Joel Mills / CC BY-SA 3.0

線虫 鞭虫の虫卵2個。レモン形で両端に無色の栓がある顕微鏡写真

犬鞭虫の卵

Trichuris vulpis
約80×40µm

レモン形(樽形)で、両端に無色の栓。この栓が見えたら鞭虫で決まり。いちばん見分けやすい卵。

国試メモ:寄生部位は大腸(盲腸)。写真の下の大きい方が犬鞭虫、上はヒトの鞭虫。

写真: CDC / パブリックドメイン

条虫 瓜実条虫の卵嚢。楕円形の袋の中に多数の卵が詰まっている顕微鏡写真

瓜実条虫の卵嚢(らんのう)

Dipylidium caninum
卵嚢 約100〜200µm

卵が1個ずつではなく「袋」にまとめて入っているのが最大の特徴。袋の中に卵が数個〜30個ほど。

国試メモ:中間宿主はノミ。肛門周囲を動くゴマ粒状の片節も診断の手がかり。人(特に小児)にも感染する。

写真: Joel Mills / CC BY-SA 3.0

条虫 テニア属条虫の虫卵。小さな球形で厚い殻をもつ顕微鏡写真

テニア属(条虫)の卵

Taenia spp.
約30〜40µm

回虫よりずっと小さい球形。厚い殻(強拡大では放射状のスジが見える)の中に六鉤幼虫が入っている。

国試メモ:エキノコッカス(多包条虫)の卵と形では区別できない——これが頻出ポイント。猫条虫の中間宿主はネズミ。

写真: Joel Mills / CC BY-SA 3.0

原虫 猫のシストイソスポラのオーシスト多数。楕円形で内部にスポロシストが見える顕微鏡写真

シストイソスポラ(コクシジウム)のオーシスト

Cystoisospora felis
約40×30µm

きれいな楕円形のカプセル。写真は胞子形成が進み、中に丸い袋(スポロシスト)が2個見える状態。

国試メモ:子犬・子猫の下痢の原因。犬と猫で寄生する種が違う(相互にはうつらない)。

写真: Ximo Castellà / CC BY-SA 4.0

原虫 ジアルジアのシスト。小さな楕円形の顕微鏡写真(ヨード染色)

ジアルジアのシスト

Giardia intestinalis
約10×8µm

このずかんで最小クラス。小さな楕円で、倍率を上げないと見落とす。写真はヨード染色で色がついた状態。

国試メモ:栄養体は洋ナシ形で下痢便に出る。人獣共通感染症として扱われる。検出には硫酸亜鉛遠心浮遊法が有効。

写真: Joel Mills / CC BY-SA 3.0

血液 犬糸状虫のミクロフィラリア。血液塗抹標本中の細長い虫体(ギムザ染色)

【番外】犬糸状虫のミクロフィラリア

Dirofilaria immitis
体長 約300µm

これだけ糞便(うんち)ではなく血液から見つかる。血液塗抹で赤血球の間をぬう細長いヘビ状の虫体。

国試メモ:中間宿主は。予防薬投与前の検査が大事(ミクロフィラリア陽性犬への急な駆虫はショックの危険)。

写真: Alan R Walker / CC BY-SA 3.0

まとめ比較表

寄生虫 大きさの目安 ここで見分ける
犬回虫 約75〜90µm 球形・厚い殻・表面デコボコ(ゴルフボール)
猫回虫 約65〜75µm 犬回虫そっくりでひと回り小さい
犬鉤虫 約60×40µm 薄い殻・中に分裂した細胞のつぶつぶ
犬鞭虫 約80×40µm レモン形・両端に栓
瓜実条虫 卵嚢 約100〜200µm 卵が「袋」入り(卵嚢)
テニア属(条虫) 約30〜40µm 小さい球形・中に六鉤幼虫。エキノコッカス(多包条虫)卵と区別不能
シストイソスポラ 約40×30µm 楕円のカプセル(オーシスト)
ジアルジア シスト 約10×8µm 最小クラス。栄養体は洋ナシ形
犬糸状虫 ミクロフィラリア 約300µm 血液中の細長い虫体(糞便ではない)

※ 大きさ・見え方は検体の状態や検査法で変わります。数値は代表的な目安です。回虫では、殻の表面がなめらかな近縁種(犬小回虫 Toxascaris leonina)もいます。

検査法もセットで覚える

1問チャレンジ

瓜実条虫の中間宿主はどれか。

1犬糸状虫を運ぶ中間宿主。ずかん番外編とセットで覚える。
2ノミこれが正解。ノミの幼虫が卵嚢を食べ、ノミの体内で感染できる形に育つ。犬猫が毛づくろいでノミを飲み込むと感染する。だから瓜実条虫の対策はノミの対策とセット。
3マダニ:瓜実条虫の中間宿主ではなく、バベシアなどを運ぶ吸血の運び屋。
4ケンミジンコマンソン裂頭条虫の第一中間宿主(第二中間宿主はカエル・ヘビ)。
5ネズミ猫条虫(テニア属)の中間宿主。ネズミを捕る猫で感染がみられる。
わん助
見比べたら、ほんとに違って見えてきた!「両端に栓ならレモンの鞭虫」「袋入りなら瓜実」…あれ、ぼく意外といけるかも!テストモードでもう1周してくる!
にゃるき
その調子にゃ!実習や現場で顕微鏡をのぞく前に、このページで目を慣らしておくと本物にも強くなるにゃ。

覚え方のコツ

※ ここに参考書のリンク枠を挿入予定
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関連ページ

本ページの顕微鏡写真は Wikimedia Commons で公開されている画像を使用しています(縮小・明るさ調整のみの改変)。 詳細はライセンス情報のページをご覧ください。