にゃるき
にゃるき先生の解説コーナー
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組織のずかん② ─ 甲状腺・副腎・胸腺・脾臓・卵巣・精巣・神経組織ほかを見分けよう

⏱ 約14分 ずかん回2026-08-10 公開
にゃるき
前回のずかんでは肺や腎臓などおなじみの臓器を並べたにゃ。今回はその続き、ホルモン・免疫・生殖・神経のなかまにゃ。名前は知っているのに顔を知らない、そんな臓器たちにゃ。前回に入りきらなかった気管支も1枚おまけしておいたにゃ。
わん助
ふふん、ぼくもう組織像には強くなったよ!今回のずかん、1枚目からわかっちゃった。丸い空間がびっしり並んでるでしょ。前回ならったもん、スカスカといえば肺!かんたんかんたん!
にゃるき
おしいにゃ〜!前回のあだ名をちゃんと覚えていたのはえらいにゃ。でもそれは甲状腺にゃ。前に覚えたことを、そのまま次の写真に当てはめる——これ、みんながいちばんつまずくところにゃ。
わん助
えぇ〜、でも丸い空間だらけなのは肺と同じだよ…どこで見分けるの?
にゃるき
「丸の中に中身が入っているか」にゃ。肺の丸は空気だから白く抜ける。甲状腺の丸はピンクの中身(コロイド)でぱんぱんに満ちているにゃ。それに肺の空洞は薄い壁でつながっているけど、甲状腺の丸は1個ずつ細胞でふちどられて独立しているにゃ。下のずかんの1枚目で見くらべてみるにゃ。今回のずかんは、こういう「1つの決め手」を臓器ごとに1個ずつ覚えていくにゃ。

ずかんの見方 ─ チェックは3つ

① 袋か、管か、かたまりか丸い袋がびっしり=甲状腺。丸い管がびっしり=精巣。ただの細胞のかたまり=副甲状腺(上皮小体)。肺の中に厚い壁の管が1本=気管支
② 濃い所と淡い所の配置外が濃く中が淡い小分け構造=胸腺。淡い地に濃い島が点在=脾臓。上下2階建て=副腎。淡い網目の地に大きな細胞が点在=神経組織
③ 中身が入っているか丸の中がピンクに詰まる=甲状腺のコロイド(白く抜けたら肺)。丸の中心に卵子がのる=卵巣の卵胞

内分泌・免疫・生殖・神経+気管支の組織ずかん(9枚)

※ 写真の倍率はカードごとに違うので、写真同士で大きさ比べはできません。標本はウマ・ウシ・ネコ・マウス・ラットなどのものを含みますが、基本構造は犬や猫と共通です(構造の理解が目的です)。染色はすべてHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色です。

写真と解説を見ながら特徴をつかもう。
内分泌 甲状腺の組織像(HE染色)。大小さまざまな丸い濾胞が並び、内部がピンク色のコロイドで満たされている

甲状腺

決め手:ピンクの中身が詰まった丸い袋

大小の丸い袋(濾胞)がびっしり。袋の中はピンクにベタッと染まるコロイドで満たされ、袋の壁は1層の濾胞上皮細胞。「中身入りの丸」が並んでいたら甲状腺で決まり。

国試メモ:濾胞上皮細胞がサイロキシン(T4)・トリヨードサイロニン(T3)を、袋の間にある濾胞傍細胞(C細胞)カルシトニン(血中Ca濃度を下げる)を分泌。T3・T4の材料はヨウ素

写真:当サイト撮影(ウマ・HE染色)

内分泌 副甲状腺(上皮小体)の組織像。濾胞構造がなく、小型の主細胞が索状に密集し、間を毛細血管が走る

副甲状腺(上皮小体)

決め手:袋が無い、細胞のかたまり

甲状腺の背側面にくっついている小さな器官。甲状腺と違い濾胞もコロイドも無く、小型の細胞(主細胞)が細い毛細血管を挟んでぎっしり詰まるだけ。「袋がない甲状腺のとなり」が目印。

国試メモ:副甲状腺ホルモン(パラトルモン/PTH)を分泌し、血中Ca濃度を上げる。甲状腺のカルシトニン(下げる)と正反対のペアで覚える。通常は左右2対。

写真:当サイト撮影(HE染色)

内分泌 副腎の低倍率組織像。上部に被膜、その下に帯状に並ぶ皮質、下部に色調の異なる髄質が広がる

副腎

決め手:外側が「帯」、内側が「まだら」

まず低倍率で2階建てを見る。外側の皮質は細胞が層になって帯のように並び、内側の髄質は配列がバラけて色調も変わる。皮質はさらに外から球状帯・束状帯・網状帯の3層。

国試メモ:球状帯→鉱質コルチコイド(アルドステロン)、束状帯→糖質コルチコイド(コルチゾール)、網状帯→性ホルモン。髄質は交感神経のなかまでアドレナリン・ノルアドレナリンを分泌。皮質と髄質は出身も役割も別物

写真:当サイト撮影(ネコ・HE染色)

免疫 胸腺の組織像。細い結合組織で小葉に分かれ、小葉の外側が濃く、中心部が淡く染まる

胸腺

決め手:小分け+外が濃く中が淡い

細い結合組織で小葉に区切られ、ひとつひとつの小葉が外は濃く(皮質)・中は淡い(髄質)。皮質が濃いのは、未熟なリンパ球がぎゅうぎゅうに詰まっているから。

国試メモ:T細胞が分化・成熟する場所。若い動物では大きく、成長とともに縮んで脂肪に置き換わる(退縮)。胸の入口(前縦隔)にあり、胸腺腫の発生部位でもある。

写真:当サイト撮影(HE染色)

免疫 脾臓の組織像。赤く染まる実質の中に、紫色に濃く染まるリンパ球の集団が島状に点在し、その中心に小動脈がみえる

脾臓

決め手:赤い海に浮かぶ紫の島

全体は赤血球で赤っぽい赤脾髄。その中にリンパ球が集まった白脾髄島のように点在する。島の中心を小さな動脈が貫いているのが決定的な目印。

国試メモ:T細胞・B細胞がともに働くリンパ器官(動脈のすぐまわりがT細胞、そのわきの濾胞がB細胞)であると同時に、古くなった赤血球を壊し、血液を貯える。犬では血管肉腫や脾臓捻転など外科疾患の多い臓器。

写真:当サイト撮影(ウシ・HE染色)

生殖 卵巣皮質の組織像。大小さまざまな発育段階の卵胞が並び、中央上の大きな卵胞では卵子とそれを取り囲む細胞層がはっきり見える

卵巣

決め手:大きさのちがう丸(卵胞)がいくつも

表面に近い皮質に、大小さまざまな卵胞が同時に見える。小さいものは細胞1層に包まれただけ、大きく育つと卵子のまわりに細胞(顆粒膜細胞)が何層も重なり、やがて中に卵胞液がたまった空間(卵胞腔)ができる。丸の中心に卵子がのっているのが目印。

国試メモ:卵胞はエストロゲンを、排卵後の黄体プロゲステロンを分泌。下垂体からのFSH(卵胞刺激ホルモン)が卵胞の発育を、LH(黄体形成ホルモン)が排卵と黄体化を促す。避妊手術(卵巣子宮全摘出)で取り除く臓器。

写真:当サイト撮影(ネコ・HE染色)

生殖 精巣の組織像。円形に切れた精細管が密に並び、管の壁は何層もの細胞でできている

精巣

決め手:壁が分厚い丸い管がぎっしり

精細管の断面がすき間なく並ぶ。卵巣の卵胞と違い、中身は空で壁が何層にも厚いのが特徴。壁の外側から内腔へ向かうほど細胞が成熟し、いちばん内側に精子の尾が房のように見える。

国試メモ:管と管のあいだ(間質)にある間質細胞(ライディッヒ細胞)アンドロゲンを分泌。管の壁のセルトリ細胞(支持細胞)は精子のもとになる細胞を支え栄養を与える。潜在精巣(陰嚢に降りてこなかった精巣)はセルトリ細胞腫のリスクが高い

写真:当サイト撮影(マウス・HE染色)

神経 脊髄灰白質の組織像。淡く網目状に見える地の中に、突起をもつ大きな神経細胞が点在し、小さなグリア細胞の核が散らばる

神経組織(脊髄の灰白質)

決め手:淡い網目の地に、大きな細胞がポツポツ

地の部分は淡くスカスカに見えるが、これは穴ではなく細い神経線維が絡み合った網。その中に、角ばって突起をのばす大きな神経細胞が点在する。まわりに散らばる小さな核は神経細胞を支えるグリア細胞(神経膠細胞)

国試メモ:脊髄は中心部が灰白質(神経細胞の本体が集まる・断面で蝶やHの形)、外側が白質(神経線維の通り道)。大脳・小脳では表面が灰白質・内側が白質なので、脊髄はその逆になる。灰白質の腹側(腹角)には、骨格筋を動かす運動神経細胞がある。

写真:当サイト撮影(ラット・HE染色)

呼吸器 肺内の気管支の組織像。スカスカの肺胞のなかに、厚い壁とひだ状の上皮をもつ管の断面がみえる

気管支(肺の中の空気の通り道)

決め手:スカスカの肺に埋まった「厚い壁の管」

まわりは肺胞だらけのスカスカの肺。その中に1本だけ、厚い壁をもつ管が断面で見える。内側の面は波打つようにひだを作り、拡大するとその表面は偽重層円柱線毛上皮(何層にも見えるが実は1層で、表面に線毛が生えた上皮)。壁には軟骨と平滑筋が含まれる。

国試メモ:線毛は粘液といっしょに異物を口側へ運び出す(気道の掃除機)。気管支が分岐して内径が小さくなったもの細気管支(壁の軟骨も消えていく)、さらに細いものが終末細気管支。空気の道順は「鼻→咽頭→喉頭→気管→気管支→細気管支→終末細気管支→肺胞」。

写真:当サイト撮影(HE染色)

まとめ比較表

臓器 ひとことで ここで見分ける
甲状腺中身入りの袋ピンクのコロイドが詰まった丸い濾胞がびっしり
副甲状腺(上皮小体)ただのかたまり濾胞もコロイドも無い。甲状腺の背側にくっつく
副腎2階建て外=皮質(帯状の3層)/内=髄質
胸腺小分け小葉に区切られ、外が濃く(皮質)中が淡い(髄質)
脾臓赤い海に紫の島赤脾髄の中に白脾髄が点在、島の中心に動脈
卵巣大小の丸発育段階の違う卵胞が同居し、丸の中心に卵子がのる
精巣壁の厚い管精細管がぎっしり。壁が何層にも重なる
神経組織淡い網に大きな細胞神経線維の網(穴ではない)に突起をもつ大きな神経細胞が点在
気管支肺の中の管肺胞に囲まれた厚い壁の管+線毛のある上皮

「そっくりペア」はセットで覚える

1問チャレンジ

精巣において、精細管のあいだ(間質)に存在し、アンドロゲンを分泌する細胞はどれか。

1セルトリ細胞(支持細胞):精細管の壁の中にあり、精子になる細胞を支えて栄養を与える。間質ではない。
2間質細胞(ライディッヒ細胞)これが正解。精細管と精細管のすき間を埋める結合組織のなかにあり、アンドロゲン(雄性ホルモン)を分泌する。
3顆粒膜細胞卵巣の卵胞で卵子を取り囲む細胞。エストロゲンの産生に関わる。
4濾胞傍細胞(C細胞)甲状腺の濾胞のあいだにあり、カルシトニンを分泌する。
5黄体細胞:排卵後の卵巣にできる黄体を構成し、プロゲステロンを分泌する。
わん助
そうか、前に覚えたあだ名をそのまま当てはめちゃダメなんだね。似てる者どうしをペアにして「違いは1つだけ」で覚えれば、迷ってもそこだけ確かめればいいんだ!
にゃるき
その通りにゃ!組織像は「1臓器=1つの決め手」で十分にゃ。全部を暗記しようとすると崩れるけど、決め手だけなら9個で済むにゃ。テストモードで確かめていってにゃ〜。

覚え方のコツ

わん助
よし、テストモードで9枚ぜんぶ言えた!このままアプリの写真問題でも試してくる!
※ ここに参考書のリンク枠を挿入予定
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関連ページ

本ページの顕微鏡写真はすべて当サイト運営者(獣医師)が撮影したオリジナル写真です(切り出し・明るさ/色調の補正のみ行っています)。標本はウマ・ウシ・ネコ・マウス・ラットなどのものを含みますが、基本構造は犬や猫と共通です(動物種の記録が残っていない標本は種名を省いています)。染色はすべてHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色です。