にゃるき
にゃるき先生の解説コーナー
愛玩動物看護師国家試験合格に向けて一緒に頑張るにゃー!!

変性 ── 細胞に「物がたまる」

⏱ 約9分🔬 病理のきほん2026-09-12 公開
🔎 病理のきほん 第4回(前編):第1回・第2回は死ぬ、第3回は小さくなる。今回はたまる変化です。ここまでの4つが1枚の地図に収まります。
わん助
変性……名前からして、もう壊れかけって感じだよね。死ぬ一歩手前でしょ? 壊死の弟みたいなやつ。
にゃるき
そこがいちばんの誤解にゃ。変性は壊れかけという意味ではないにゃ。定義を読むと、まったく別のことが書いてあるにゃ ── たまる、にゃ。

変性は「壊れかけ」ではない

定義をそのまま引きます。細胞が傷害される過程において、細胞や組織に異常な物質が出現したり、生理的に存在する物質が大量に蓄積する現象を、病理学的に変性とよびます。

読み直してみてください。「壊れる」とも「死にかけ」とも書いてありません。書いてあるのは出現と蓄積 ── つまり「物がたまる」です。多くの場合は代謝障害が原因で、その結果として細胞や組織の形が変わります。

ここまでの4回が、1枚に収まります

ちょうど折り返しなので、地図を出しておきます。細胞・組織の機能低下や消失を特徴とする変化は、まとめて退行性変化とよばれます。その中身が4つ ── 変性・萎縮・壊死・アポトーシスです。

お気づきでしょうか。このシリーズがここまで扱ってきたものが、そのまま並んでいます。

細胞傷害(外因・内因) 退行性変化 変性 物がたまる ← 今回 萎縮 小さくなる 第3回 壊死 膨れて破れる死 第1回・第2回 アポトーシス 縮んで片づく死 第1回 「死ぬ」だけが病理ではない たまる・小さくなる も、同じ枠の中にある

試験が選ばせるのは「何がたまったか」

わん助
たまるのは分かったけど、変性って名前がすごくいっぱいあるよね。表に10個くらい並んでるよ。全部おぼえるの……?
にゃるき
そこは安心していいにゃ。実際の試験が聞いてくるのは、たまった物の名前のほうにゃ。しかも顔ぶれはだいたい決まっているにゃ。

変性の名前は、何がたまったかで付きます。脂肪がたまれば脂肪変性、糖がたまれば糖原変性。ですから、名前を先に覚えるよりたまる物のほうを覚えるほうが早い ── そして試験も、そちらを聞いてきます。

グリコーゲン
(糖原)
糖が元々ある部位に過剰にたまるか、糖がない部位にたまる。糖尿病のときの肝細胞が代表
脂肪細胞内に中性脂肪が過剰に沈着する。肝臓でみられるものが脂肪肝
アミロイド異常な線維性の蛋白が臓器に沈着する。ヨードででんぷんのように紫色になるので類でんぷんともよばれ、コンゴーレッド染色で橙色に染まる
カルシウム
(石灰)
局所にたまるもの(異栄養性)と、全身性のもの(転移性)がある。全身性は高カルシウム血症や重度の腎不全による尿毒症に続発する
尿酸組織に尿酸結晶が沈着して重い炎症を起こすのが痛風。鳥類と犬に多い

実際の出題を見ておきます。第4回(2026)の実地では、この顔ぶれがそのまま選択肢に並びました ── 「肝臓の染色像で赤紫色に染まる物質はどれか」の選択肢がグリコーゲン・脂肪・アミロイド・カルシウム・尿酸(正解はグリコーゲン)、別の1問ではアミロイド変性・グリコーゲン沈着・混濁腫脹が誤答肢に並んでいます。

※ PAS染色という名前は、基礎で習う範囲ではあまり見かけませんが、実地で問われました。グリコーゲンが赤紫色に染まる、という1点だけ覚えておけば足ります。

もうひとつの型 ── 水でふくらむ

変性の形態的変化は、最初に2つに分けられます。ひとつは今見た物質の蓄積。もうひとつが、細胞内の水の分布が変わって細胞や細胞小器官が膨らむものです。

こちらは代表を2つだけ。混濁腫脹・顆粒変性は、低酸素や虚血でミトコンドリアが水を含んで膨らむもの。水腫変性・空胞変性は、肝細胞や腎尿細管上皮細胞の小胞体が膨らむものです。たまったのが物ではなく水、というだけで、考え方は同じです。

変性は、たまった物で分かれる 物がたまる グリコーゲン(糖原) 脂肪 アミロイド カルシウム(石灰) 尿酸 ← 試験はここを選ばせる 水でふくらむ 混濁腫脹・顆粒変性 ミトコンドリアが膨らむ 水腫変性・空胞変性 小胞体が膨らむ 低酸素・虚血で起こる たまったのが物か、水か。それだけの違い

1問チャレンジ

変性でみられる物質の蓄積に関する記述として、誤っているのはどれか。

1正しい。糖原変性。糖尿病時の肝細胞が代表。
2正しい。肝臓でみられるものが脂肪肝。
3正しい。類でんぷんともよばれる。
4正しい。鳥類と犬に多い。
5これが誤り。局所(異栄養性)と全身性(転移性)があり、全身性は高カルシウム血症や重度の腎不全に続発する。

覚え方のコツ

看護でどう活きるか

「変性」と聞いて慌てない 検査報告書に変性とあっても、それ自体は「死にかけ」の意味ではない。何がたまっているかが本体なので、報告書のその語を読む。言葉だけが飼い主さんに伝わって不安になることがある
脂肪肝という言葉 画像や検査で出てくる脂肪肝は、肝細胞に中性脂肪がたまった変性そのもの。「病気の名前」ではなく状態を指す言葉だと分かっていると、説明を聞き違えない
カルシウムと腎臓 全身にカルシウムが沈着するタイプは、高カルシウム血症や重度の腎不全による尿毒症に続発する。慢性腎臓病の子を看るとき、カルシウムの数字は腎臓の話と地続きだと分かっていると、検査結果の見え方が変わる
わん助
変性ってたまってたのか! 壊れかけだと思ってたから、ぜんぜん逆だったよ。しかもおぼえるのは名前じゃなくて、たまる物のほうなんだね。5つならいけそう!
にゃるき
後編は、たまる物のうち色のついたものだけを集めるにゃ。褐色の色素が5つあって、見分けられると実地問題がとれるにゃ。国試にいちばん出ているところにゃよ。
※ ここに参考書のリンク枠を挿入予定
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