色素は大きく2つに分かれます。生体内で合成された色素(生体内色素)と、環境中から生体に取りこまれた物質の色素(生体外色素)です。
生体外色素には、覚えやすい入口があります。沈着するのはとくに外気を吸いこむ呼吸器系や、呼吸器に近接するリンパ節。つまり息と一緒に入ってくる。代表が炭粉です。
試験のもうひとつの聞き方が「生体内色素と関連疾患・病態の組合せ」です。色素の名前だけでなく、何とセットで出てくるかまで持っておく必要があります。
| ヘモグロビン | 赤血球の大部分をしめる血色素。出血後の皮下の色素沈着として認められることがある |
|---|---|
| ヘモジデリン | 赤血球の崩壊によって組織内へ沈着する色素で、鉄を含む |
| ビリルビン | 胆汁に含まれる色素。黄疸の際に、肝臓をはじめさまざまな組織に沈着する |
| リポフスチン | 不飽和脂肪酸の過酸化でできる。消耗性色素・老化色素ともよばれ、高齢動物の心筋や神経細胞内に蓄積する |
| メラニン | メラニン産生細胞がつくり、動物の体毛や皮膚の色を決める。皮膚病などで沈着して問題になることがある |
実際の出題(第4回 一般)の誤答肢を見ると、作り方がよく分かります ── リポフスチン=鉄過剰症(鉄はヘモジデリン)、ヘモジデリン=悪性黒色腫(黒色腫はメラニン)。線を1本ずらして作ってあるのです。正解はビリルビン=黄疸でした。
実地問題で、まったく同じ「褐色の色素はどれか」が2回出ています。
| 心疾患の犬の肺 | → ヘモジデリン(第2回 実地) |
|---|---|
| 口腔にできた悪性黒色腫 | → メラニン(予備3回 実地) |
決め手は色ではなく、どこで見たかでした。心臓がわるい犬の肺なら、血のめぐりが滞って赤血球が壊れた先の話 ── だから鉄を含むヘモジデリン。黒色腫なら、その腫瘍を作っている細胞そのものがメラニンをつくる ── だからメラニンです。
ですから実地の問題文は、色ではなく「どの動物の、どこの組織か」を先に読む。これが1点を取りにいく順番です。
※ このつながりは1か所にまとまってはいませんが、習う範囲をまたげば全部つながります ── 左房室弁に異常が起こると肺静脈の血液が停滞し、肺の毛細血管から液体成分が漏出して肺水腫となる(解剖生理)、心原性肺水腫はおもに左心不全による(循環器の疾患)、そしてうっ血が慢性化すると血漿成分が漏出して水腫が起こり、血球の破壊にともなうヘモジデリンの沈着もみられるようになる(病理)。この道すじは第6回で扱います。
色素と、それに関連する病態の組合せとして正しいのはどれか。
| 黄疸は結膜で見る | ビリルビンが組織に沈着した状態が黄疸。図として示されるのは猫の結膜が黄色を呈する像。毛色にまぎれる部位より、粘膜のほうが早く気づける。「白目が黄色っぽい気がします」は、そのまま報告してよい所見 |
|---|---|
| 出血のあとに残る色 | ヘモグロビンは出血後の皮下の色素沈着として認められることがある。皮下に色が残っているとき、それは今起きている出血とはかぎらない。いつからあるかを飼い主さんに確認して記録する |
| 高齢動物の「たまり物」 | リポフスチンは老化色素で、高齢動物の心筋や神経細胞にたまる。加齢そのものを止める話ではないが、高齢であること自体が組織に形として出ると知っておくと、検査所見の読み方が変わる |